幼児教育の方法にはどのようなものがあるの?親御さん必見!

記事イメージ画像

子育て中のママやパパは、幼児教育という言葉を聞いたことがあるかもしれません。幼児教育といっても、いろいろな種類があって教育方法も全く異なります。そこで、この記事では、幼児教育とは何かを紹介していきます。外国と日本で有名な幼児教育についても解説しているので、子どもに幼児教育を行う前に一読してみてください。

1.幼児教育とは

記事イメージ画像

幼児教育とは、一般的には小学校就学前の子どもの教育を指しています。文部科学省も幼児教育は、0歳から就学前までを対象と考えるのが一般的であると発言しています。0歳から教育するのは早いのではないかと思うかもしれませんが、幼児期だからこそ学習しておかなければならないことがたくさんあるのです。少子化や核家族化に伴い、幼児を取り巻く環境は変化しています。そのため、幼児によって運動能力や言語能力の低下、集団生活における体験やコミュニケーション不足などが懸念される事態となっています。

幼児教育は、子どもの生涯にわたる、人間形成の基礎をつくるうえで欠かせない教育です。教材を使った学習だけでなく、家庭で行うしつけから体を動かす遊びまで、幼児が生きる力を身に付けるための教育全てが幼児教育に含まれます。そのため、習いごとも幼児教育の一環として考えられています。幼児教育は、早めに教育をする早期教育とは異なって、受験対策や専門知識を身に付けることを目的としていません。あくまでも、幼児が今後生きていくうえで必要となる知識の基礎を身に付けつるためのものなので、自主性が損なわれるリスクは低いといえます。

とはいえ、日本では幼児教育・保育が無償化されるのは、3~5歳までの子どもたちです。それ以前の0~2歳までの子どもたちについては、住民税非課税世帯でなければ無償化の対象になりません。そのため、子どもが0~2歳までは無償化の対象外となる家庭では、各家庭で幼児教育を行わなくてはいけないケースもあるでしょう。

2.幼児教育の必要性

記事イメージ画像

上述したように、幼児教育は子どもが今後の人生を生きていくうえで、必要な知識を身に付けるための教育です。基本的な生活習慣、意欲や態度は一朝一夕で身に付くものではありません。幼児期から何度も繰り返し教えられることで、子どもは善悪の分別を備えていくことができます。このように、幼児期の経験が子どもの人間形成に大きな影響を与えるため、幼児教育は子どもにとって必要な教育だといえるでしょう。

ところで、1946年に刊行された『スポック博士の育児書』という育児書をご存じでしょうか。実は、同育児書では、幼児期教育とは真逆の育児が推奨されています。子どもを自律させるためには部屋を分けたり、泣いたまま放置したりすることが大切だと力説されているのです。同書を見て、アメリカでは子どもを放置する親が続出します。すると、子どもの自立心を育てる目的で放置していたはずが、かえって犯罪率を上げる結果となってしまいました。

同書を見て育てられた子どもたちは、自尊感情が著しく低下してしまうと分かったのです。スポック博士の育児書がきっかけで起きた出来事からも分かるように、幼児教育は大人になってからも大きな影響を与えます。幼児期に様々な経験をすることで、知性や理性といった、人間として豊かに生きるための基礎を形作ることができるのです。

3.幼児教育のメリット

幼児教育を子どもに受けさせてどのような効果が得られるのかと、不安を感じている人は少なくないのではないでしょうか。そこで、ここからは、幼児教育を受けさせるとどのようなメリットがあるのかを紹介していきます。

3-1.いつでもできるからこそ子どもとの時間が増える

記事イメージ画像

家庭で行う幼児教育であれば、時と場所を選ばないというメリットがあります。子どもを教室に預けて教育を受けさせるわけではないので、指定された日時に送り迎えする必要がありません。そのため、多忙な生活の中でも、個人のペースで教育を続けられます。また、家庭でも教材を使うなど工夫をすれば、生活面だけでなく学習面に関しても十分な教育を行うことができるでしょう。

幼児期に、親子で一緒にいる時間を増やすというのはとても大切です。非認知能力を伸ばすには、幼児期の時間が重要だといわれているからです。非認知能力は社会性・忍耐力・感情のコントロール力のことで、5歳くらいには完成するとされています。非認知能力は将来的に学力にも繋がると考えられているため、子どもが幼いうちから十分にコミュニケーションを取る必要があります。幼児期に親が子どもの好奇心を尊重し、見守っていく中で非認知能力は身に付いていくのです。

シカゴ大学のヘックマン教授が行った実験では、質の高い幼児教育を受けた子どもたちのほうが、学歴や収入が高く、逮捕率も低いという結果が出ています。幼児教育を受けて、非認知能力を身に付けると、将来の人間形成に大きな影響を与えることが判明したのです。親が子どもと過ごせる時間は一瞬です。一番長く一緒にいられるのが幼児期で、子どもが成長するにつれて一緒に過ごす時間は減っていきます。親が子どもと一緒になって取り組める幼児教育には、子どもとの時間を増やせるという魅力があります。

3-2.生活からも学べるので習慣化できる

記事イメージ画像

幼児教育では、子どもの五感を刺激することが大切です。生活の中でさまざまな体験をさせ、視覚や聴覚、嗅覚や味覚、触覚を発達させていきます。子どもが自発的に好奇心をもって動くのを遮らないことで、自主性や生きる力を育てられるのです。五感を養えるのは外遊びだけではありません。お家の中にいても、五感の発達を促せます。たとえば、時計を見ながら数字や時間を覚える練習をしたり、図鑑や料理を見て野菜や果物の名前を教えたりと、日常生活の中でも幼児教育は可能です。このように生活習慣に取り入れやすいところが、幼児教育のメリットだといえるでしょう。

幼児教育は、ごく身の回りにあるもので行えます。しかし、高層マンションなどが増え、自然と触れ合う機会が減ったことで、昔よりも幼児期に五感を発達させるのが難しくなっているといわれています。高層階マンションに住んでいると、普段の生活の中で風を感じたり、日光を浴びたりと、自然を感じられなくなるためです。親が積極的に子どもを外に連れ出さなければ、一軒家や低層階のマンション、アパートと違って自然を感じる機会は圧倒的に少なくなります。高層階だとエアコンで空調管理するケースが多く、季節ごとに変化する気温や風景に気づきにくくなってしまうのです。幼児教育の一環として、自然と触れ合うことを習慣化できれば、子どもの五感を発達させるのにも役立つでしょう。

4.幼児教育のデメリット

幼児教育には良い面がある一方で、悪い面もあります。幼児教育を行うことのデメリットを紹介していきます。幼児教育を取り入れようとしている人は、良い面と悪い面の両方を理解したうえで行うようにしましょう。

4-1.教育に時間を取られすぎる

記事イメージ画像

上記で紹介した『スポック博士の育児書』が世界的にブームを巻き起こしたのは、育児が大変であることが背景にあります。泣いているときに子どもを放置したり、早いうちから子どもと部屋を分けたりすることができれば、当然ながら親の負担は軽くなります。子どもに構わない時間が増えることで、自分の時間が持てるようになるでしょう。つまり、幼児教育は親が付きっきりでみていないといけないので、その分親の負担が増してしまうのです。

しかも、子どもの成長のためを思って幼児教育をした結果、伸ばすべきところを見誤って成長が遅れてしまう要因になることもあります。そのため、ただやみくもに幼児教育を行うのではなく、過剰な早期教育になっていないか、時間や心に余裕はあるのかを見極めながら取り組むことが大切です。仕事と育児の両立に悩んでいたり、一人で育児をして疲れてしまったりと心にゆとりがないときは、周りに頼るのも一つの手です。幼児教育は家庭でも行う必要がありますが、一人で全てを背負いこむ必要はありません。各自治体が子育て支援センターを開いているので、育児の悩み相談や年齢が近い人との交流は子育て支援センターを活用してみましょう。

4-2.家庭以外とのかかわりがなくなる

記事イメージ画像

外に行かず家の中で幼児教育を行う場合、周囲との関係が希薄になってしまう可能性があります。子どもは同年代の子と遊ぶ中で社会性や協調性、コミュニケーション能力を身に付けていくので、家の中にこだわらず外でも幼児教育をしていく必要があります。幼児期はウイルスにかかったり、怪我を負ったりするリスクがあるので、外出を控えているという家庭もたくさんあるでしょう。しかし、生後1カ月も経てば、段階的に外出をしても問題ないといわれています。最初は10分程度のお散歩から始めていき、生後3カ月になったら外出の範囲を広げていきます。幼児期はとにかく風邪をひいてしまうものですが、免疫力をつけるためには必要なので、ウイルスから遠ざけすぎるのも良くありません。

5.【外国】幼児教育の方法

記事イメージ画像

海外では、幼児教育をどのように行っているのでしょうか。ここからは、外国で実際に行われている幼児期の教育方法を紹介していきます。

5-1.モンテッソーリ教育

モンテッソーリ教育は、イタリアで初めて女性医学博士となった、マリア・モンテッソーリによって考案されました。子どもは成長する力を自ら持っているので、大人は子どもの要求を汲み取り、活動や取り組みを見守ることが重要であるという考えのもとに生まれた教育法です。子どもひとりひとりの行動を見守り、大人は少しだけ手助けする役割に徹するのです。一見理解できないように見える子どもの行動にも意味があるため、大人から見て理解できない行動でも否定しないように心がけます。

そして、モンテッソーリ教育では、子どもを注意深く観察し、大人とは違う感覚を持っているということを理解することが大切です。子どもを観察していけば、独自の世界観を持っていると分かるでしょう。子どもはまだ周囲に合わせられないので、自分中心でしか考えられません。決められた順序や習慣通りに物事を進めないと、急に予定を変えるのは難しいのです。本人は良かれと思って行動しているので、わがままや危険だと止めさせるのではなく、自分の仕事として納得いくまで自由に選ばせましょう。

モンテッソーリ教育を取り入れた幼児教育施設では、子どもの社会性や協調性を養うために、一つのクラスに年齢の異なる子たちを混合しています。また、子どもが興味をもって続けることで集中力や思考力、達成感を育てられるように、子どもの興味をそそるような教具を自由に選べるように環境を整えているのが特徴です。

5-2.シュタイナー教育

シュタイナー教育は、オーストラリア出身の哲学博士である、ルドルフ・シュタイナーの考えに基づいて作られた教育法です。精神は子ども自身が成長させるものなので、大人は成長を妨げる障害物を取って、精神が成長するきっかけをつくるだけでよいというものです。子どもが安心して成長できるように生活リズムを整えて、テレビやゲーム、知的教育を除いて規則正しい生活が行える環境を用意します。

シュタイナー教育では、人間の成長を7年周期で考えているため、幼児教育の0~7歳までは意志の力を育むことに重点をおいています。意志の力を育むのに、体を動かすように教育していくのです。大人の真似をさせて意図した動きをさせることで、創造力・集中力が培えるとしています。就学後は、心・感情・思考の形成を段階的に行っていき、個人の能力を最大限に引き出させてくれます。

5-3.レッジョ・エミリア・アプローチ教育

レッジョ・エミリア・アプローチは、レッジョ・エミリアという、イタリア北部の小さな町で誕生した幼児教育のことを指しています。子どもは無限の可能性や権利を持っていて、個性を尊重して大切にしなければならないということを教育理念としているのです。レッジョ・エミリア・アプローチでは、子どもの自主性を養うために、プロジェクト活動を行っています。あくまでも大人は話し合いに参加して進行させるだけで、具体的な話し合いは子どもたちに任せるのです。自分から発言するだけでなく、他人の意見も取り入れるうちに、子どもたちの協調性も鍛えることができます。活動の様子を撮影して記録を残すといった特徴もあります。

5-4.ピラミッドメソッド幼児教育法

ピラミッドメソッド幼児教育法は、1994年にオランダ政府教育評価機構によって考案されました。同教育法では、子どもの意志を尊重して、自己解決力や行動力、意志を伝える力などを養っていき、同時に保育者の自主性も養っていくのです。子どもの自主性を育めるように、保護者が声掛けや活動を促すことで支援していくのです。また、子どもが安心して探索活動に取り組むために、子どもと良好な信頼関係を築くことも重視しています。ピラミッドメソッド幼児教育法では11テーマのプロジェクトがあり、大きさ・数・色・形を通して抽象的な概念を学んでいきます。目の前のものだけ学ばせるのではなく、外の世界や抽象的な世界にも目を向けられるように、距離を置くことにも力を注いでいるのです。

6.【日本】幼児教育の方法

記事イメージ画像

外国で行われている幼児教育法と比べて、日本の幼児教育法にはどのような特徴があるのかを詳しく紹介していきます。日本で考案された幼児教育法について解説していくので、海外のものと比較検討してみてください。

6-1.石井式漢字教育

石井式漢字教育は、教育学博士である石井勲先生が提唱している教育法です。漢字とかなが混ざった教材で、子どもの思考力や読解力、表現力を鍛えていきます。遊び感覚で早いうちから日本語が学べるので、自然と集中力や記憶力が身に付けられます。石井式漢字教育は、能力開発教室と通信教育の2種類があるので、世界中どこにいても教育を受けることが可能です。

6-2.ヨコミネ式

ヨコミネ式は、子どもが将来自立して生きていけるようにするための教育法です。学ぶ力と体の力、心の力を養うことに注力しています。全ての子どもが天才であるという考えに基づいて、子どものやる気を起こして才能を引き出してくれます。テストのために読み・書き・計算をするのではなく、幼児期に学ぶ力を身に付けるために学習を進めていくのです。自ら試行錯誤をしていくことで、他人から一方的に教えられるよりも学ぶ力が身に付いていきます。ヨコミネ式では、運動神経は6歳までに固まると考え、運動神経も高めていくことができます。ヨコミネ式には、競争意識やまねをしたがる習性、チャレンジ精神、承認欲求などを刺激する教育方法などがあてはまります。

6-3.七田式

七田式は、愛情をもって子どもを見つめ、かつ右脳の持つ力を引き出すための教育法です。幼児期は子どもの成長家庭なので、短所ばかりをみずに完璧主義で育てたり、他の子と比較したりしないようにします。また、学力を中心として育てず、現状で満足して受け入れるようにしていきます。とはいえ、脳を鍛えなければ、成長するにつれて左脳が優位になってしまうため、右脳の全盛期である幼児期に取り組むことが重要です。七田式では、右脳を活性化する取り組みの一つとしてフラッシュカードを使用し、たくさんの情報を早く記憶することで語彙力や理解力、表現力を鍛えています。幼児期に情報処理能力を高めておくことで、大人における外国語学習などに役立てることもできます。

幼児教育は子どもの自主性を尊重して行おう

記事イメージ画像

幼児教育についての知識を深めることはできたでしょうか。幼児教育はどれを採用するのが正解というわけではなく、子どもに合わせた方法に挑戦することがおすすめです。いくら幼児教育が大事だといっても、無理強いをするのは子どもの発達によくありません。あくまでも子どもが好奇心を持って取り組めそうかを重視し、親子ともに無理のない範囲で幼児教育に臨みましょう。

執筆者:英語で預かる学童保育Kids Duo
コラム編集部