幼児教育にはどのような種類がある?幼児教育で大切にすべきこと

記事イメージ画像

子どもが成長するにつれ、「幼児教育」に興味を持つようになる親御さんもいることでしょう。しかし一口に幼児教育といっても、その手法はさまざまであり、まずはそれぞれの特色を理解する必要があります。幼児教育はどのような目的で、何をどのような方法で行うと効果的なのでしょうか。この記事では、幼児教育の事例を取り上げながら、幼児教育の種類や幼児教育をする上で大切にすべきことは何かについて解説します。

1.幼児教育ってどういうもの?

記事イメージ画像

一般的に「幼児」とは、乳児期を過ぎた1歳から、小学校入学前の6歳までの時期をさします。「教育」というと、幼稚園や保育所、習い事などが思い浮かぶかもしれません。しかし、幼児教育の概念には、それらの施設における教育に加え、家庭や地域社会における教育など幼児の生活全般における教育が含まれます。幼児期は好奇心が旺盛で脳も柔軟であるため、得意分野を見つけて伸ばすのに適しているでしょう。

また、この時期には大脳神経系の約80%が出来上がるとされており、言語能力や身体能力が著しく発達し、コミュニケーション能力や社会性を身に付け始めます。そのためこの時期に受ける教育は、生涯にわたる人格や能力の基礎、学習の土台となるためとても重要です。

「三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、幼児期にバランスの取れた人間形成の基礎を身に付けることは、その後の健やかな成長、さらには将来に大きな影響を与えます。

2.幼児教育と早期教育の違い

記事イメージ画像

幼児教育と混同されやすいのが、「早期教育」です。似ていると勘違いしてしまいがちですが、実は「目的」が大きく異なります。幼児教育の目的が生涯にわたる人格形成や学習の基礎をつくることを重視しているのに対し、早期教育の目的は受験や芸術・運動など専門的な技能の習得を目的としています。

そのため、小学校受験などを見据えた早期教育では、知識の習得や学習の先取りを重視します。また、早期教育は大人の意向で行われるケースが多く、幼児期に入るのを待つことなく、家庭によっては乳児期や胎児期から始める場合もあるでしょう。

しかし幼児教育では、子どもの内面に働きかけ、目先の結果よりも、学習意欲や探求心などを培わせ可能性を伸ばすことを重視します。

3.幼児教育にはいくつかのメソッドがある

幼児教育は実際にどのように行うとよいのでしょうか。幼児教育には、いくつかの体系だったメソッドが存在します。これからそれらを紹介していきましょう。

3-1.外国発の幼児教育

記事イメージ画像

多くの幼児教育メソッドは、海外で開発されました。まずは、その中で代表的なものをいくつかピックアップして解説します。

3-1-1.モンテッソーリ教育

「モンテッソーリ教育」とは、ローマ大学最初の女性医学博士であり教育家でもあったマリア・モンテッソーリが提唱した手法で、100年以上にわたって世界中で支持されてきました。子どもには「自己教育力(自分で自立に向かって成長していこうとする力)」があることを前提とした手法です。

大人が一方的に子どもに価値観や知識を教え込むのではなく、子どもが自分で自分の活動を自由に選び、納得するまで繰り返して学ぶようにさせることで「自発性」を重んじます。周囲の大人は、子ども自身がその力を存分に発揮できるような環境を整え、助ける役割を果たすことが重要です。

発達段階の特徴をふまえて3歳までの前期と3歳から6歳までの後期に分け、それぞれの時期に合った教育環境や教具が用意されています。日本では、将棋の藤井聡太棋士も受けていた教育として有名になりました。

3-1-2.シュタイナー教育

「シュタイナー教育」は哲学者であるルドルフ・シュタイナーが提唱した手法で、最初の学校は1919年にドイツで設立されました。0歳から21歳までを7年ずつ3つの成長過程に分類し、発達段階に合わせた教育を行うのが特徴です。

幼児期に重視するのは健康な「からだ」を育てることで、テレビやゲーム、既製のおもちゃなどを与えるかわりに、手足をたくさん動かして遊ばせます。大人は規則正しい生活のリズムや温かみのある環境を整えて安心感を与え、子どもたちが自分のペースで成長できるように助けることが重要です。

また、言葉で教え込むかわりに、大人の真似をさせることで学習させます。さまざまな体験を通して「意思」や「創造力」を育み、自分の意思に基づいて自由に行動できるように育てることが目的です。児童文学作家のミヒャエル・エンデや、日本では俳優の斎藤工さんがシュタイナー教育を受けて育ちました。

3-1-3.レッジョ・エミリア・アプローチ教育

「レッジョ・エミリア・アプローチ教育」は、イタリア北部の町レッジョ・エミリアで生まれました。米国大手企業の社内プリスクールでも取り入れられている教育法です。具体的な教具や教員の資格などが明確に定められているわけではないため、教育手法というよりは、哲学や子どもと関わるうえでの心構えと言った方がよいかもしれません。

子どもの個性や意思を尊重し、それらを最大限に生かすのが特徴で、大人が子供に知識を教えたり細かな指示を与えたりするのではなく、子どもが体験を通して自分自身で学んでいくスタンスです。

具体的には、話し合いをしながら物事を自分で決めていく経験を重ね、子どもの自ら考える能力やコミュニケーション能力を高めます。大人の役割は、適切な方向づけやサポート、写真や動画などを使ったプロセスの記録です。さまざまな人や物と触れ合える環境づくりも大切にします。

また、グループを作って共同作業に取り組むことで、「自主性」だけでなく、周囲の意見にも耳を傾ける「協調性」も身に付けられるでしょう。

3-1-4.ピラミッドメソッド

「ピラミッドメソッド」は、ユニセフの調査で「世界で最も子どもの幸福度が高い国」とされたオランダの、オランダ政府教育評価機構Cito(チト)が提唱した幼児教育メソッドです。教育心理学博士のフォン・カルクがピアジェやヴィゴツキーなどをもとにして開発しました。ピラミッド型(四角錐)の構造をした教育理論が名前の由来です。ピラミッドの土台には、「子どものやる気」と「保育者の主体性」、「寄り添う」と「距離を置く」という4つの基礎概念が据えられています。

子どもが安心できる環境をつくり、子どもだけでなく保育者の自主性も育まれるのが特徴です。そして、自分で選んだ遊びやグループでの段階的な遊び、一人ひとりに合わせた特別な支援を通して、子どもたちの「自分で決断する力」や「自己解決能力」を育て、あらゆる領域において、認知的・身体的・社会情緒的にも、バランスの良い発達を促します。さらに、子どもたちは楽しみながら「創造力」を身に付けることもできるでしょう。

3-1-5.ドーマンメソッド

「ドーマンメソッド」とは、アメリカで人間能力開発研究所を創設したグレン・ドーマンが用いた教育手法です。脳に障害のある子どもたちのために脳の発達を研究していく中で、乳幼児期の子どもたちに適切な刺激を与えることで可能性をもっと伸ばせることに気づいたのがきっかけでした。

日本の幼児教室で重視されている「知育」にも良いといわれる教育法で、赤ちゃんの頃からあえて算数や文字、水泳などを積極的に学ばせます。理解力や判断力が高く、好奇心が旺盛なだけでなく、穏やかで思いやりがあり、自分の意見をしっかり言えるような子どもに育てることが目的です。このメソッドで学ぶと良好な親子関係を築きやすいという特徴もあります。

3-1-6.ニキーチン教育

「ニキーチン教育」は、モスクワ郊外に住んでいたニキーチン夫妻が7人の子どもたちを育てる中で実践し、提唱した教育法です。「創造力」を身に付けさせるため、「自分で考える力」や「自分で解決法を見つけ出す力」を育むことを重視します。自分や子どもの力を信じ、あえて危険な体験や難しいことをさせてみるなど、一般的な教育概念にとらわれないユニークな手法です。

積み木などの知育遊びが人気で、子どもたちは遊びを通して、比較対照して分析する能力や、物事の法則を見つけたり組み合わせたりする能力などの知的能力を養うことができます。

3-2.日本発の幼児教育

記事イメージ画像

これまでは海外の事例をいくつか紹介しましたが、ここからは日本発の教育手法を紹介します。代表的な3つの教育法を見てみましょう。

3-2-1.石井式教育法

「石井式教育法」は、教育学者である石井勲博士によって提唱されました。記憶力に優れているという幼少期の特性に着目し、この時期に適切な言語教育を行うことで可能性を伸ばすことができるという信念に基づいています。言葉は思考の土台であり、豊かな表現力はコミュニケーション能力や理解力の向上にもつながるからです。

より効果的に語彙を身に付けさせ、日本語の能力を伸ばし、豊かな言葉が豊かな心を育むことを目指して漢字教育を行います。漢字は「目」で理解する言葉(視覚言語)で、子どもにとってはひらがなよりも覚えやすいため、心配はいりません。漢字かな交じり絵本やカードを使って言葉や文字を教えます。

3-2-2.ヨコミネ式教育法

「ヨコミネ式教育法」とは、女子プロゴルファー・横峯さくらさんの伯父である横峯吉文氏が提唱する教育法です。「心の力(正義感や道徳観)」と「体の力(体力や柔軟性)」、「学ぶ力(経験や勉強を通して自ら知識や生きる知恵を学ぶ力)」を育むことで、子どもたちが持つ可能性を引き出します。

その結果子どもたちが自立すること、つまり自ら考え、行動できるように助けることが目的です。基礎学習や運動の分野などで、いまの自分に対して「少し難しい」課題を与えることで、能力を引き出していきます。

3-2-3.七田式教育法

「七田式教育法」は、世界平和功労騎士勲章を受章した七田眞氏が提唱した教育法です。0~6歳までの幼児期に子どもの脳が非常に発達することを踏まえ、右脳教育を積極的にとり入れます。オリジナルのフラッシュカードを使った右脳トレーニングなどが有名です。

また、知識や理性の教育だけでなく、人間として心を豊かにすることや感性の教育も重視しており、褒めることや愛情を伝えることにも重きを置いています。大きな夢や志を持ち、リーダーシップをとれる子どもを育てることが目標です。

4.幼児教育で大切にすべきもの

幼児教育にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や手法が異なることがわかりました。ここでは、ふさわしい幼児教育を選び実践する上で大切なことについて説明します。

4-1.子どもの自主性を育てる

記事イメージ画像

幼児教育では、子どもの自主性を育てることを大切にしましょう。できるだけ、親の意思に子どもを巻き込むのは避けてください。子どもたちは関心があることはどんどん学びますが、無理やりさせられたことはなかなか身に付きません。大事なのは、子ども自身がやることに興味関心を持つことです。そのため、まずはよく観察することによって子どもが興味を持っていることに気づき、どうしたいのかを理解してあげるように心がけると良いでしょう。

4-2.親子で一丸となり取り組む

記事イメージ画像

幼児教育では、親子が一丸となって取り組むことも大切です。幼児教室や保育園などの施設だけでなく、家庭で過ごす中でも、子どもは自然にたくさんのことを学んでいます。絵本の読み聞かせやお絵かき、ボール遊びなども立派な幼児教育です。お片付けなどの簡単なお手伝いを頼むのも良いでしょう。

「教育」というと、それを受ける子どもに焦点があたりがちですが、親子で一緒に学ぼうとする姿勢が重要です。一緒に取り組むことで子どもはより楽しさや喜びを感じますし、親から褒められる経験は関心事を増やしたり意欲を高めたりすることにもつながるでしょう。

4-3.小学校や将来で役立つことを見据える

記事イメージ画像

幼児教育の役割の1つは、就学後の生活に向けた準備をすることです。小学校やその後の人生で役立つことを見据えて、しっかり教えましょう。
例えば、小学校に入ると集団行動が発生するため、まずは集団生活に慣れることが重要です。自分の考えをしっかり伝えることや、人の話を聞いたり周りの人と協力したりすることを教えておくことができます。

また、早寝早起きやあいさつなどの生活習慣や基本マナーも、早い時期からしっかり身に付けておくと安心です。

4-4.達成感を感じさせる

記事イメージ画像

幼児教育を通して、子どもの成長を見る機会が増えるでしょう。子どもが何かを達成できたときには、その都度、一緒に喜んだり思い切り褒めてあげたりして、子どもが「達成感」を得られるようにしてください。達成感や成功経験は、子どもにとっての自信につながるはずです。

これからの人生でさまざまなことを学んでいくにあたり、自信は新しいことに挑戦する意欲にもなります。失敗したときやうまくいかなかったときには、またチャレンジできるように励ましてあげましょう。

5.異文化体験を通じて自主性や協調性、国際性を育てる幼児教育

幼児教育にはさまざまな手法があり、それぞれに特色があります。大切なのは、先を見据えたうえで、自身の子どもに合った方法で能力を伸ばしてあげることです。人格形成や学習の土台を築く大切な時期を有効活用して、その後の人生の備えがしっかりできるようにサポートしてあげましょう。

英語漬けの環境で子どもたちをお預かりする、新しい学童保育 Kids Duo(キッズデュオ)は、異文化体験を通じて自主性や協調性、国際性を育てるには最適です。長時間にわたり英語環境で過ごすことで、楽しみながら自然に英語が身につきます。

また長い時間を過ごす学童保育は、お子さまにとっては第2の家も同然。だからいつも笑顔で過ごせるよう、Kids Duoでは楽しいプログラムをご用意。アート&クラフト、音楽、運動、ゲーム、読み聞かせ、パターンブロック (Hands on Math) など、知的好奇心を刺激するたくさんのプログラムを通じて、新しい知識や経験との出会いを楽しむことができます。

この機会に、新しいタイプの学習施設「Kids Duo(キッズデュオ)」の無料体験に申し込んでみてはいかがでしょうか。

執筆者:英語で預かる学童保育Kids Duo
コラム編集部