生きていくための力を育てる幼児教育とは?ポイントや家庭内で行えること

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幼児教育は、生きていくために必要な力を育てるものです。自分の子どもに幼児教育をやりたい気持ちはあるけれど、なかにはどのように取り組むのが適切かわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、幼児教育のポイントやメリット・デメリット、家庭で行える幼児教育の種類などについて解説していきます。

1.幼児教育とは

そもそも、「幼児教育」とはどのような教育のことをいうのでしょうか。ここでは、幼児教育の目的や、早期教育や英才教育との違いについて紹介します。

1-1.幼児教育の目的

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幼児教育の目的は、生きていくための力を育てることにあります。また、幼児教育を行う対象は1~6歳までの子どもです。ここでいう「生きていくための力」とは、小学校入学前までにさまざまな体験を通して、生活するうえで欠かせないルールや、日常生活での人とのかかわり方などのことを指しています。これらのことは、幼児教育では学力や人間性、健康の基礎になるものと考えられています。

1-2.早期教育や英才教育との違い

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幼児教育と混同しやすいものとして、「早期教育」や「英才教育」が挙げられます。これらは、幼児教育とは目的や方法が大きく異なります。まず、早期教育とは、3歳頃までの子どものうちから専門的な知識を身に付けることが目的です。そのため、カード教材を使うなどして脳に刺激を与えていくなど、インプット教育が主に行われています。加えて、早期教育では受験のために必要な学力を付けることも目的としています。

その一方で、英才教育の場合は勉強だけでなく、芸術やスポーツなど優れた才能を持つ子どもの能力を伸ばすための教育のことをいいます。これらのことからも分かるように、早期教育や英才教育と、幼児教育とは根本的に異なるものであり、幼児教育は人間としての基礎を身に付けるものです。したがって、人間の基礎となる幼児教育を行えば、結果として早期教育・英才教育につながるという考え方もできるでしょう。

1-3.幼児教育の種類

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幼児教育には非常に多くの種類があり、なかには家庭で取り組めるものもたくさんあります。たとえば、家庭でできる幼児教育のひとつとして、あいさつが挙げられます。周りの人から何かしてもらったら「ありがとう」とお礼を言うことは、人として当たり前のことです。あいさつやお礼を言うなど当たり前のことを家庭で指導し、子どもにとって必要なしつけを行うことも、幼児教育のひとつです。加えて、絵本の読み聞かせや、ママやパパと遊ぶなどのことも、家庭でできる幼児教育です。

家庭でできる幼児教育のほかにも、ピアノや水泳、英会話などの習い事も幼児教育のひとつとして位置付けることができます。家庭外で行う習い事は、家庭で取り組める幼児教育の補助的な役割を担うものと捉えると良いでしょう。ほかにも、公園や児童館などの公共の場所で、ほかの子どもとかかわりながら遊ぶことも幼児教育といえます。同年代の子どもとかかわる場合にも「順番を守る」などのルールがあるので、家庭の外で取り組む幼児教育ではこのような決まりも学ぶことができます。

2.幼児教育のポイント

幼児教育にはさまざまな種類がありますが、生きていくための力を養うにあたっては具体的にどのようなことが重視されるのでしょうか。ここからは、幼児教育に取り組む場合のポイントを3つ紹介します。

2-1.子供の自主性・好奇心を尊重する

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幼児教育では、子どもの自主性や好奇心を尊重することが求められます。そのため、子どもが「やりたい」と思うことにチャレンジしてみることも大切です。また、幼児教育を行う場合、子どもよりも親のほうが一生懸命になってしまうケースもあります。しかし、幼児教育はあくまでも子どものための教育です。そのため、親の意向だけではなく、子どもの目線に立ち、「子どもは何に興味を持っているのか」などのことを見極めながら取り組んでいくと良いでしょう。子ども自身が興味を持っていることなら、モチベーションを維持しながら前向きに取り組める可能性が高いので、喜びや達成感などが得られやすいというメリットもあります。

2-2.親子で一緒に喜びや楽しさを共有する

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幼児教育を続けていくなかで、子どもが何かできるようになったら、親も一緒に喜んであげましょう。たとえば、お手伝いは親子で一緒に取り組める幼児教育です。子どもにお手伝いをさせる場合は子どもに一人でやらせるのではなく、親も一緒に楽しみながら取り組むことがポイントです。親子で喜びや達成感が共有できれば、親子間の絆を育むこともできます。

2-3.「五育」のバランスを踏まえる

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幼児教育を行う場合、「五育」のバランスを考慮することが大切です。五育とは、知育・体育・美育・語育・徳育の5つのことをいいます。知育は知能を鍛えることで、学力や頭の良さを指しています。また、体育は体を鍛えるもので健康や運動神経、美育は感性を鍛えるもので、音楽や美術などのことです。ほかに、語育は英語など語学を鍛え、徳育は道徳・倫理観・性格の良さなど心を鍛える教育です。この5つをバランス良く育んでいくことが、生きるために必要な力を養うためには欠かせないといわれています。

3.家庭で行う幼児教育のメリット・デメリットとは

家庭での幼児教育の目的としては、しつけ・マナーを身に付けることや親子の関係性の構築、子どもの興味関心を見付けるなど、さまざまな事柄が挙げられます。ここでは、家庭で行う幼児教育のメリット・デメリットを見ていきましょう。

3-1.メリット

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家庭で行う幼児教育には、たくさんのメリットがあります。ここでは、4つのメリットを紹介します。

(1).時間の制限なくいつでもできる

家庭で幼児教育を行えば、時間や日時を選ばず、いつでも好きなときに取り組むことができます。外で習い事をする場合、決まった日・時間を空けておく必要があるので、共働き家庭にとっては大変などの問題があります。家庭で幼児教育をすると、子どもと一緒に過ごす時間をすべて幼児教育の時間として使うこともできるのです。

(2).親子のコミュニケーションにつながる

家庭でママやパパと一緒に幼児教育に取り組めば、親子のコミュニケーションにもつながります。また、子どもも両親と一緒なら、リラックスしながら学べるというメリットもあります。親子間でコミュニケーションをとりながら幼児教育をすると、子どもの興味関心がどこにあるのかを親は早い段階で把握することもできるでしょう。

(3).生活に紐づいた教育で習慣化が期待できる

家庭内であいさつなどのしつけを行うと、日々の生活に紐づけた教育が実現します。そのため、身に付けたことが習慣化しやすく、子どもの成長促進にも役立ちます。また、自宅はいつも生活している慣れ親しんだ空間であることから、子どもが大きなストレスを感じずに必要な幼児教育が続けられる点もメリットのひとつです。

(4).費用がかからない

外で習い事をさせると、ある程度の費用がかかります。そのため、家庭で幼児教育を行えば、教材を購入したとしても、高額な費用がかかる心配はありません。外で習い事をさせると講師への謝礼が必要になるので、家庭での習い事のほうが経済的といえるでしょう。

3-2.デメリット

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万能に見える家庭での幼児教育にも、デメリットはあります。ここでは、家庭で幼児教育に取り組む際には把握しておきたいデメリットについて、2点見ていきましょう。

(1).家族以外とのコミュニケーションがとりにくい

家庭で幼児教育を行う場合、取り組み方によっては家族以外の人とコミュニケーションをとる機会が少なくなってしまう恐れがあります。子どもに社会性を身に付けさせたいなら、家族以外の人ともかかわりを持たせることが大切です。たとえば、友達や両親以外の大人とも幼い頃からコミュニケーションをとっておくことは、将来必ず役に立つときがくるでしょう。また、家庭内で取り組む幼児教育の場合、行きすぎた教育をしてしまうと、社会的マナーや社交性、協調性を育成するという観点からすると、デメリットと捉えることもできます。そのため、家族以外の人ともコミュニケーションをとる機会が得られるように、子どもを定期的に近所の公園で遊ばせるなどして、社会性が身に付けられるような方法を取り入れるようにしましょう。

(2).ママパパに負担がかかる

家庭での幼児教育は、時間にとらわれずいつでもできるというメリットがあります。その一方で、幼児教育に時間をとられすぎてしまうと、親の大きな負担となってしまう点はデメリットといわざるを得ません。家庭で幼児教育を行う場合には、ルールを決めてから取り組むことが大切です。具体的には、「時間を決めて取り組む」「できないことではなく、できたことに着目してしっかりとほめる」など、極力親の負担とならないようなスタイルを見付けていくと良いでしょう。

4.家庭で行える幼児教育について

家庭でできる幼児教育には、どのようなものがあるでしょうか。幼児教育を行う場合、子どもの年齢に応じて必要な教育は変化していきます。ここでは、年齢別にどのような幼児教育に取り組むのが良いかを紹介します。

4-1.0~1歳児の場合

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生まれてから1歳になるくらいまでの間に、赤ちゃんの脳と体は急激に成長していきます。そのため、見る・かぐ・聞く・触れる・味わうという、いわゆる「五感」にさまざまな刺激を与えて、成長を促すことが重要です。たとえば、ミルクを飲ませたり、おむつ交換をしたりするときなど、赤ちゃんのお世話をするときには意識的に話しかけることで言葉の発達を促すことができます。ほかには、絵本の読み聞かせや、おもちゃで一緒に遊ぶなどのことも効果的です。

4-2.2~3歳児の場合

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子どもが2~3歳くらいになると、自我が芽生え始めます。そのため、親の言うことを聞かなくなったり、時には反抗的な態度をとったりするなどの変化が見られる時期でもあります。この自我が芽生えるときというのは、幼児教育にとって重要な期間といわれているため、教育を行ううえでのポイントを押さえておくことが大切です。たとえば、2~3歳の子どもの遊びの一環として、指先を使う遊びをすると、脳に刺激を与えることができます。指を使う遊びの例としては、紐通しや型はめ、ブロックなどの遊びは特に有効です。

また、この時期に見立て遊びをすることも、脳に刺激を与えます。見立て遊びとは、いわゆる「ごっこ遊び」のことです。見立て遊びでは、おままごとでお料理を作ったり、お店屋さんやお医者さんになりきったりするなどして遊びます。この時期に見立て遊びをすると、想像力を養い、脳に刺激を与えることができます。さらに、子どもが3歳くらいになると、次第に先を見通す力が身に付いてくるのが一般的です。3歳頃からは絵本の読み聞かせをはじめ、パズルや積み木などの遊びにチャレンジしてみると、子どももより楽しく取り組むことができるでしょう。

4-3.4~6歳児の場合

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4~6歳は、身体能力と知的好奇心が飛躍的に伸びる時期です。たとえば、身体能力の向上に合わせて、幼児教育のなかに体を動かす遊びを積極的に取り入れていくと、体力やバランス感覚が身に付きます。また、この時期の子どもは知的好奇心が旺盛であるため、知的好奇心をくすぐるような質問をあえて投げかけてみることも重要です。たとえば、何気ない会話のなかで、「なんで?」「どうして?」などと子どもに問いかけてみると、思考力や想像力を高めることに役立つでしょう。

ほかにも、4~6歳になると、文字や数字に興味を持つ子どもも増えてきます。ひらがなやカタカナ、簡単な足し算・引き算、時計の読み方などを幼児教育のなかに無理のない範囲で取り入れていくと、子どもも嫌がらず、意欲的に取り組める可能性が高いといえます。特に、小学校に入学する前には知的な教育も必要になってくるので、ドリルや教材などを活用しながら読み書きの練習も行ってみましょう。

5.子どもの成長にあわせて家庭内外で幼児教育をとりいれよう

子どもが4~6歳になると、学力的な幼児教育を検討する時期になります。特に、小学校受験などを視野に入れている場合は、受験のための教育も行う必要があるでしょう。ただし、共働きの場合などは時間的な制約がある場合も多いのが実情です。加えて、子どもによっては興味関心など、個別の事情もあることから、幼児教育のすべてを家庭で実施するのは難しいという問題もあるでしょう。このようなときには、外での習い事・教室などを上手く利用しながら、子どものバランスの良い成長を促してあげることが大切です。幼児教育を始めるときには、「〇歳から始めなければならない」などの決まりはありません。そのため、親子で楽しみながら取り組み、無理強いしないように行うことが重要です。

執筆者:英語で預かる学童保育Kids Duo
コラム編集部