【英語の英才教育】成功・失敗の分かれ目は?日本語が身に付かなくなる?

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社会のグローバル化に伴い、子どもには早くから英語の英才教育を施したいと思っている人も多いでしょう。しかし、どのような英才教育が子どもにとって一番よいのかわからず、実践できないことがあります。また、英語の英才教育に力を入れすぎると、日本語の能力や日本文化の習得に問題が生じてしまうのではないかと心配する人もいるでしょう。この記事では、英語の早期教育のメリットや注意点を解説していきます。

1.高まる英語教育の重要性!早いうちから英語に慣れておきたい理由

子どもがグローバル化した世の中に対応できるよう、早期からの英語教育が注目されています。ここでは、なぜ早いうちから英語に触れることが大切なのかという理由について解説していきます。

1-1.急速に進むグローバル化!日本人はハンデを負っている

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日本では他の先進国に比べて英語力が低いといわれています。語学試験の国別ランキングなどをみても、日本の順位は高いとはいえません。このようなランキング上位の国と比較すると、日本の教育はむしろ高いレベルで普及しているといえます。それなのに、なぜ英語力は低くなってしまうのでしょうか。

背景の1つには、母国語の影響があるでしょう。日本語と英語の語学系統は全く違うため、母国語である日本語と外国語である英語は構造が全く異なり、習得するのに時間がかかります。母国語と似た言語を学ぶ場合と、母国語と全く異なる言語を学ぶ場合では、習得にかかる時間に大きな差が生じます。アメリカ人が日本語を学ぶのは非常に大変だと想像できるでしょう。日本人が英語を学ぶ場合もそれと同じ労力が必要だと仮定すると、トータルで2500時間近くの学習が必要ともいわれます。小学校から中学、高校、大学までの英語の授業を合わせても1000時間以内とされるので、さらに1500時間ほどの英語学習を行わなくてはならないことになります。日本の教育制度の中で、この1500時間をどのように捻出するかが課題となっていくでしょう。成長するにつれて他の教科の学習事項や課外活動も増え、英語学習時間の確保は難しくなっていきます。日本人が抱えるハンデは大きく、早期に学習を始めておくことが望ましいと考えられます。

1-2.5・6年生からは教科として学習が本格化

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社会のニーズの変化に合わせて2020年度から小学生の新学習指導要領が導入されるのを聞いたことがある人も多いでしょう。新学習指導要領が本格的に施行されると、小学校中学年から外国語に触れる活動がプログラムに盛り込まれ、小学5・6年生で本格的に教科として英語を学び始めるようになります。既に移行期間として、2018年5月の時点で小学校の約3割が先行して新学習指導要領の時間数に従って英語教育を行っています。

この新学習指導要領では、従来小学校高学年で行われていた外国語活動がさらに早い小学校中学年に前倒しされ、小学校高学年では英語を1つの教科として年間70単位時間の授業で学びます。週2回程度の頻度で英語の授業が実施されることになるでしょう。小学校では英語を使ったコミュニケーションスキルのベースを築き上げることが目的とされています。

1-3.中学英語は授業も全て英語で行われる

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文部科学省が発表した「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を見ると、中学校ではさらに実践的な英語の授業が行われる方針になっています。これによると、基本的に教室内での授業の進行も英語で行われることになります。つまり、先生が英語で説明するのはもちろん、生徒が先生へ質問する場合やプレゼンテーションを行う場合、生徒同士で意見を交換する場合も基本的には英語を使ってやり取りが行われることになるでしょう。親の世代で行われていた英語教育とは全く方針が異なります。

こうした取り組みの狙いは、生徒が英語に直接触れたり使ったりする機会を増やして習慣化していくことです。その結果、よりスムーズに実践的な英語力を身に付けることができると考えられています。

1-4.何歳から英語教育は始めるべき?

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学校教育でも英語教育を取り入れる学年は早まっており、英語教育を早くから取り入れることの重要性が理解できます。自分の子どもにはいつから始めさせたらよいかと疑問に思う人も多いでしょう。実際には、何才から始めるべきという明確なデータや根拠はありません。どのタイミングで英語を始めるべきかを気にするよりも、本人が楽しんで学べるか、興味をもって取り組めるかを重点に考えてみるとよいでしょう。

学習し始めた段階で苦手意識や嫌悪感を持ってしまうと、その後の英語教育にも影響してしまう可能性があります。また、親から与えるプレッシャーが大きすぎると、子どもがやる気をなくしてしまうこともあるでしょう。熱心に教育するのはよいことではありますが、子どもの気持ちを尊重して勉強開始のベストなタイミングを見極めるのが長続きするコツです。

2.小さい時から英語教育を始める「子どもの人生」におけるメリット

英語の早期教育は、人生にどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。早くから英語教育を始めた場合の子どもにとってのメリットを紹介します。

2-1.英語特有の表現や文化も吸収できる

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英語と日本語は、言語の構造や仕組みが大きく異なります。日本語の敬語にあたる表現は日常的には使われません。年齢や立場によって言葉を使い分けるシーンは、日本語に比べると圧倒的に少ないでしょう。また、自分の気持ちをダイレクトに伝えたり、感情を隠さずに素直に表現したりします。英語を学ぶということは、単に言語的な違いだけではなく、その背景にあるコミュニケーション方法や文化の違いを理解することに繋がるでしょう。

英語には、日本語よりも強い言い方やオーバーリアクションなどもあります。ジョークも頻繁に使われ、笑いの感覚も違うでしょう。日本人の奥ゆかしさとは対照的な面が多々あり、言語を学ぶうちに自然と異文化を体感していくことになります。幼い頃から多様な文化に慣れ親しんでいると、それぞれの環境への順応力も高くなります。

2-2.多様性への理解・寛容な心を持つことができる

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日本は、地理的・歴史的背景から海外の文化に直接接する機会が他国に比べて少ない環境です。特別に意識をして視野を広く持たない限り、決まりきった常識の中で生きていくことになるでしょう。その中で、偏ったものの見方をしないように気を付ける必要があります。狭い見識の中で意識や考え方が形成されてしまう前に、英語を通して異文化や多様性に触れることで柔軟で寛容な発想力が身につくのは大きなメリットです。英語教育に小さいころから慣れ親しんでいることで、グローバル社会で生き延びていく基礎的な力が身についていくでしょう。

3.子どもの英語教育に関する疑問・不安

子どもに英語教育を行う際には、どのような点に気を付けたらよいでしょうか。失敗したと後から思わないように、注意点を確認しておきましょう。

3-1.日本語が身に付かなくなるって本当?

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幼いうちから2つの言語を学ぶと、どちらも中途半端になったり日本語の能力に支障がでてくるのではという懸念があります。実際に、言語は脳内で論理的に考えるうえでの重要な基盤となります。そのため、日本語も英語も不完全な状態で成長してしまうと、論理的に考える能力も発達が遅くなってしまう場合があるでしょう。せっかく複数の言語を操ることができても、思考力が未発達だとその後の人生に影響を及ぼしてしまいます。

計画を立てずストイックに英語学習を増やすと、子どもは混乱してしまうでしょう。英語が嫌いになってしまったり、日本語の学習がおろそかになってしまったりする原因になります。ただし、2つの言語を母国語レベルで操ることのできるバイリンガルは、達成不可能な目標ではありません。むやみに勉強時間だけを増やして結果としてどちらの言語能力も不完全になることは避けるよう、専門家の意見を聞きつつ計画的に学習を進めましょう。

3-2.日本人としてのアイデンティティが薄くなるって本当?

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小さい頃から異文化に触れることの代償として、日本人として日本の文化や習慣を大切にできなくなってしまう場合があります。そうならないように、バランスよく日本についても興味を持って学んでいくことが必要です。必ずしも日本人としてのアイデンティティに固執する必要はありませんが、故郷の文化や歴史も勉強し大切に思うことで、国際社会に出てさまざまな人と交流する中でもアイデンティティを失わずに自分らしく生きていけることでしょう。

英語教育を日本で受け、普段の生活で家族や親戚、友達と生活していく中では、あまり日本文化に対しての愛着を失うことはないでしょう。海外で英語教育を受ける場合は周りの大人が注意して日本の文化にも触れさせていくことが大切です。ただし、海外で暮らすからこそ、日本人としての意識がはっきりし、日本文化を大切に思う気持ちが芽生えることも多いでしょう。難しく考えすぎる必要はありませんが、文化に対する子どもの興味が偏らないように、見守ってあげるのが大切です。

3-3.早期からの英才教育は子どもの自主性が伸びなくなるって本当?

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幼いうちから親の願いだけを押し付けて子どもに過度な教育を受けさせてしまうと、子どもが混乱したり大きすぎる負担を背負って苦しい思いをすることがあります。期待をかけ過ぎてしまうと、子どもの精神面に影響する場合もあるでしょう。英才教育の際に大切なのは、子どもが自ら興味を持って学んでみたいと思えるような条件や環境を与えることです。押し付けではなく、自主性を引き出してあげるように仕向けてあげましょう。自由な雰囲気を与えることで、自分の意志が芽生えてくることがあります。

具体的には、受け身の学習スタイルではなく、親しみやすいネイティブスピーカーやバイリンガルスタッフと実際に触れあって遊びながら学べるような英語スクールが理想的です。特に幼いうちは、工作や音楽、遊びなどさまざまなアクティビティを英語を使いながら行うと、いつの間にか英語に慣れて違和感や恐怖心を持たずに学習することができるでしょう。

4.【英語教育成功の秘訣】子どもが伸び伸び英語を習得するためには

子どもが親から強制されることなくのびのびと英語を学ぶには、何を意識すればよいのでしょうか。自由な環境で英語を習得させるためのコツを紹介します。

4-1.子どもの行動パターンに当てはめる

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子どもは強制的にやらされていると思うと、学習が滞ってしまいます。まずは対象に興味を持たないと、新しく教えられることを知識として身に付けられません。最初から学習量やレベルを気にするのではなく、楽しく英語に触れあってくれたらそれでよいという気持ちを持っておくとよいでしょう。

子どもの行動にはパターンがあります。まず、目新しいものを前にすると緊張しますが、時間とともに緊張がほぐれ楽しいと感じるようになってくるでしょう。最初は楽しくても、変化がないとすぐに飽きて興味が他のことに移ってしまいます。そして、他の楽しいことがみつかると、新しい遊びに夢中になります。このようなサイクルが繰り返されるため、ずっと同じ勉強をさせてしまうと退屈になり飽きてしまうでしょう。親の願望で教育を押し付けるのではなく、この特性を利用して変化を取り入れて楽しみながら学習できる環境を与えるのが理想的です。

4-2.「学ぶ」ではなく「遊ぶ」

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教育心理学や塾・英会話スクールなどの研究から、子どもに英語教育の機会を与える際は遊び感覚で楽しく自然と英語に触れられる環境を用意するのが効果的とされています。真面目な勉強というイメージを与えず、家族や先生、友達と一緒にゲーム感覚で英語を使う時間にすることが継続のカギとなるでしょう。子どもの気持ちを尊重して、英語の時間に嫌悪感を抱かせないことが第一の優先事項です。飽きてしまったり気分が乗らなかったりする場合は、無理やり強制させないようにしましょう。そのようなことがないように、変化に富んだ楽しい内容で英語に触れる習慣をつけておくのがおすすめです。

4-3.英語の「モノマネ」を楽しむ

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子どもの英語教育で効果的な方法は、全力でモノマネをすることです。映画やアニメなどを英語で見て、登場人物やキャラクターのモノマネをします。場面における動作や言い方、感情など全てをコピーしてみましょう。最初は違和感があったり、何を話しているかわからなかったりしても、繰り返しているうちにマスターできるようになり、発音がよくなっています。周りの大人が一緒にやってあげると、より楽しくできるでしょう。

5.注意!英語教育がうまくいかない原因

子どもに英語教育を行っても途中でうまくいかなくなってしまう場合もあります。ここでは、英語教育を中断させないために、どのような要因に気を付ければよいか解説していきます。

5-1.英語を学ぶことを強制する

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親として英語教育に力を入れるのは子どもの将来のためですが、現在の子ども本人の気持ちも尊重する必要があります。子どもが嫌がっているのに強制して英語を勉強させても、結果的に語学は身に付かなかったり英語が嫌いになってしまったりします。親の気持ちを押し付けるのではなく、子どもの様子を細かく観察しながら子どものペースに合わせて英語に触れさせていくとよいでしょう。英語を通して好きなことをさせたり遊ばせたりしながら、自主的に英語を使う環境を作り出すのが理想的です。

5-2.英語をとにかく「聞かせる」だけ

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学生や大人であればリスニングや聞き流しの目的をわかっているので効果があるかもしれませんが、子どもに英語を流して聞かせるだけという方法はあまり効果が期待できません。子どもは興味を持ったものや知っているものでないと聞こえてくるものを理解しようとしないでしょう。意味の分からない内容を流すのは単なるBGMとなり、興味をもってもらえません。英語を聞かせたいのであれば、最近習ってきたばかりの歌や単語などを流すことが重要です。また、知っている単語であればリピートできるようなものを流すと楽しみながら声に出して練習することができるかもしれません。

6.大事なのは「楽しむこと」「実際に話すこと」

英語の英才教育で重要なことは、子どもの気持ちを尊重して学習を強制しないことです。子どもが興味を持ちながら楽しんで取り組めるアクティビティがあるとよいでしょう。また、言語能力として定着させるには、英語を聞くだけではなく、実際に話すことも重要です。バイリンガルやネイティブスピーカーとスクールで楽しみながら英語に触れる機会を増やしてはいかがでしょうか。

執筆者:英語で預かる学童保育Kids Duo
コラム編集部