
「小学校の英語教育って本当に必要?」「早期に英語を始めると、どのような影響があるの?」などと気になる方も多いでしょう。
小学校の英語教育には、多くのメリットがある一方で課題も存在します。
本記事では、小学校での英語教育の概要、メリット・デメリット、現状の課題と家庭でできる実践的な学び方を紹介します。この記事を読むことで、小学校からの英語教育に対する理解が深まり、効果的な学び方やサポート方法を見つけられます。ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
1.小学校の英語教育必修化の概要

小学校での英語教育が必修化されたことで、子どもたちは早い段階から英語に触れ、基礎的な言語力を身につけることが求められるようになりました。これは、国際社会に適応するための重要な教育改革と位置づけられています。
英語教育がどのように始まり、どのような背景で導入されたのかを理解することは、子どもの学びを支えるうえで大切です。
ここでは、必修化がいつから始まったのか、その具体的な背景について解説します。
1-1.いつから始まった?
小学校の英語教育必修化は、2020年度から全面的に実施されています。学習指導要領の改定により、小学校3年生から英語が正式な教科として導入されました。
日本の小学校における英語教育では、高校を卒業するまでに4つの技能の習得を目指しています。英語の読解力、聞き取り能力、会話力、そして文章作成力です。
小学校での英語学習を通じて、中学校での本格的な英語教育に移行できる基礎を築くことを目標としています。
1-2.必修化された背景とは?
小学校での英語教育が必修化された背景には、日本の国際競争力強化への期待があります。特にグローバル化が進む現代では、国際社会に対応できる言語能力をいかに早期に育成するかが重要な課題です。
英語はビジネス、科学、技術など幅広い分野で共通語として使用されており、国際的な場面でのコミュニケーション能力が子どもたちの将来に大きな影響を与えると考えられています。
必修化によって、日本の子どもたちが将来、英語を武器に世界で活躍できる基礎を築くことが期待されています。
参考:【外国語活動・外国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)|文部科学省
2.新しい学習指導要領の内容

新しい学習指導要領では、英語教育が子どもの成長段階に応じて体系的に進められることを目指しています。特に小学校では、中学年と高学年で指導内容に違いがあり、それぞれの年齢に適した学びを通じて英語の基礎を築くことが重視されています。
ここからは、中学年と高学年の活動内容について具体的に解説します。
2-1.小学校中学年の活動
小学3年生と4年生における外国語活動では、コミュニケーション能力の基礎をつくることを重視しています。文部科学省が定めた学習指導要領では、この学年の主な目的は言語感覚を育てることです。
外国語活動の授業では、子どもたちが英語の音声や表現に自然に親しめる環境づくりが大切です。授業を通じて、まずは日本語と英語の音声の違いに気づく力を養います。また、外国語活動の年間授業時間は35時間と設定されており、週に1回程度の実施となっています。知識の定着よりも、言語を実際に使用する体験を重視した指導が展開されているのが特徴です。
このような外国語活動を通じて、簡単な英語のフレーズを聞き取ったり、日常的な表現を口に出したりする経験を積みながら、自分の考えや気持ちを英語で表現する力の土台をつくっていきます。英語に楽しく触れることで、将来の学びにつながる基礎を築くことが期待されているのです。
2-2.小学校高学年の活動
小学5年生と6年生の外国語科では、英語教育がより本格的な学習へと発展します。授業では、英語の音声や文字、語彙、文法などの知識を体系的に学んでいきます。日本語と英語の語順の違いなどへの理解を深め、英語を実践的なコミュニケーション手段として活用する基礎力を養成するのが特徴です。
外国語科の年間授業時間は70時間に設定されており、3・4年生の外国語活動と比べて倍増しています。授業は学級担任が中心となって行いますが、英語専科教員や外国語指導助手も指導に加わり、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を総合的に学習します。
このように、新しい学習指導要領では、中学年と高学年で異なるアプローチを取りながら、英語を段階的に学ぶ仕組みが整えられています。
3.小学校で英語教育を受ける4つのメリット

小学校から英語教育を受けることで、子どもたちは自然に英語に触れる機会が増え、将来の言語習得や国際社会での活躍に向けた土台を築くことが可能です。
ここでは、具体的なメリットを4つの観点から解説します。
3-1.英語に馴染みやすい
小学校の段階で英語に触れることで、子どもたちは早期から言語習得の基礎を築けます。幼いほど新しい言語を吸収しやすいとされており、小学校の柔軟な時期に英語を導入することは大きなメリットです。
また、日常的に英語の音に触れれば、発音やイントネーションに対する自然な感覚が養われ、言語に対する抵抗感を減らすことも可能です。たとえば、歌やゲームを通じて楽しく英語を学ぶことで、学びが「勉強」というよりも「体験」に近くなります。
このように、楽しみながら英語に親しむことは、将来的に学び続ける意欲を高めることにもつながります。英語に慣れている子どもは、学年が進むにつれてスムーズに言語能力を発展させられるでしょう。
3-2.国際的な視野が広がる
外国語学習は、異文化理解の入り口となります。英語教育を通じて、子どもたちは世界各国の生活習慣や文化の違いに触れる機会を得られるでしょう。柔軟な思考を持つ小学生の時期に、多様な価値観や文化に触れることは非常に重要です。
たとえば、外国の絵本や動画を教材に使用する授業では、単に英語を学ぶだけでなく、海外の生活や考え方についても自然と理解が深まります。この経験により、将来的に異文化コミュニケーション能力が高まり、国際社会で活躍する素地が形成されます。
また、将来的に海外での仕事や留学を考えた際にも、小学校からの学びが基礎となりスムーズに適応できる可能性が高まるでしょう。このように、小学校での英語学習は、子どもたちの視野を広げるための貴重な機会の一つになるといえます。
3-3.発音やリスニング力が身につく
英語の習得には適した時期があることが、言語学習研究で明らかになっています。日本語と英語では、音声の特徴や言語構造が大きく異なります。そのため、早期から英語に触れることで、自然な言語感覚を養えるでしょう。
言語習得の臨界期は一般的に10歳前後とされており、この時期までに英語学習を始めると効果的です。特に英語独特の音声体系を習得する能力は、年齢とともに低下する傾向があります。英語の音の違いを聞き取る力は、幼少期の経験が重要な役割を果たします。
自然な英語コミュニケーション能力を育むためには、子どもの柔軟な学習能力が発揮できる環境づくりが重要です。小学校での英語教育によって、この貴重な言語習得期間を有効に活用できるでしょう。
3-4.中学校以降の学習がスムーズになる
中学校での英語教育は、授業のほとんどが英語で進められる方針となっています。小学校での英語学習経験は、この本格的な英語教育への重要な準備段階です。実用的な英語力の習得には長期的な学習が必要であり、早くに学習し始めることはメリットの一つです。
ただし、この時期につまずいてしまうと、その後の英語学習意欲に影響を与えるかもしれません。適切な指導と支援により、子どもが自信を持って英語を学べる環境を整えましょう。
また、大学入試制度も従来の読解力や文法知識を問う試験から、4技能を総合的に評価する方式へと移行する傾向にあります。早期から英語の基礎力を身につけることで、その後の学習をより効果的に進められるでしょう。
4.小学校で英語教育を受ける3つのデメリット

小学校からの英語教育は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらの課題に適切に対応しなければ、子どもたちの成長に思わぬ影響を与える可能性があるので注意しましょう。
ここでは、日本語の習得、英語に対する苦手意識、指導体制のばらつきに関するデメリットを詳しく解説します。
4-1.日本語の習得がおろそかになる
小学校での英語教育に力を入れることで、日本語の基礎的な能力が十分に身につかないリスクがあります。特に幼い時期は、母語である日本語の語彙力や文章理解力を高める大切な時期です。この段階で英語に時間を割きすぎると、日本語の習得が遅れる可能性があります。
たとえば、長文読解力や漢字の定着が不十分だと、中学校や高校での国語の授業に影響を及ぼす可能性があります。また、日本語の表現力が未熟な状態では、他の教科の理解や表現にも影響を及ぼしかねません。
このため、英語教育を進める際には日本語の学びをおろそかにせず、バランスを保つ工夫が必要です。子どもの発達段階に応じた無理のない学習計画を立てることで、両言語の健全な習得を促せます。
4-2.英語を嫌いになるリスクがある
小学校での英語教育が無理に進められると、子どもが英語そのものに苦手意識を持つ可能性があります。特に、個々の子どものペースや興味が考慮されていない場合、学ぶこと自体がストレスとなり、結果的に英語嫌いにつながる恐れもあるでしょう。
具体的には、難しい単語や文法を早い段階で強制的に覚えさせられると、楽しく感じられず、学習意欲が低下することがあります。これは、将来の英語学習にも悪影響を与える可能性があります。
特に低学年は、自分の気持ちや考えを適切に表現するのが難しい場合があります。加えて、コミュニケーション活動を中心とした授業は、人前で話すことに抵抗がある子どもにとって、ストレスとなる可能性も否定できません。こうしたリスクを回避するためには、個々の子どもに応じた学習を心掛けることが不可欠です。
4-3.教師の指導力にばらつきがある
小学校での英語教育では、担当する教師の指導力にばらつきがあることが大きな課題の一つです。教師が専門的な英語指導の訓練を十分に受けておらず、授業の質が学校ごとに異なるケースがあります。
ネイティブに近い発音を指導できる教師がいる学校では、リスニングやスピーキングに力が入りますが、そうでない学校では英語活動が表面的なものにとどまる可能性もあるでしょう。
このような問題に対応するためには、教員向けの研修を充実させたり、専任の英語教員を配置したりするなどの体制整備が求められます。保護者としても学校の取り組みを確認し、必要に応じて家庭でサポートすることが重要です。
5.話すのが苦手?日本の英語教育の現状と問題点

長年の英語教育にもかかわらず、実践的な英語力が身についていない現状があります。文部科学省の令和5年度の調査では、中学生の英検3級相当の達成率は50.0%、高校生の英検準2級相当は50.6%にとどまっています。
また、学習時間の不足も深刻です。英語の習得には一般的に2,000~3,000時間が必要とされていますが、現行の学習指導要領での授業時間はその目標に遠く及びません。さらに、日本の英語教育では、受験のための学習が中心となっている実態があります。
日本人の英語能力が国際的に低い水準にとどまっている背景には、このような受験偏重の教育システムも影響していると考えられます。世界で活躍できる人材育成という観点からみると、現状の受験対策中心の英語教育には大きな課題があるといえるでしょう。
参考:令和5年度「英語教育実施状況調査」概要|文部科学省
6.小学生からできる!実践的な英語力を育む方法

英語力を身につけるためには、日常生活で英語を楽しく使える環境を整えることが重要です。また、学校の授業だけでなく、家庭や地域での取り組みを通じて実践的なスキルを育むことも大切です。
ここでは、小学生の段階から始められる2つの方法について具体的に解説します。
6-1.日常のなかで英語を楽しむ
小学生の英語学習では、楽しみながら自然に言語を習得できる環境づくりが欠かせません。遊びの要素を取り入れた学習方法は、子どもの学習意欲を高めるアプローチとなります。
英語での言葉遊びは、無理のない学習方法の一つです。ゲームをアレンジして動物や食べ物の英単語を学んだり、カードゲームのルールを英語での会話を必須とするように工夫したりすることで、自然な形で英語に触れることができるでしょう。
また、子どもの「やりたい」という自発的な気持ちを大切にすることで、英語学習への抵抗感を軽減できます。強制的な学習は逆効果となり、英語への苦手意識を生む原因となります。遊びを通じた学習では、失敗を恐れず、積極的に英語を使おうとする姿勢が育つでしょう。
6-2.英会話教室などに通う
学校教育だけでは英語学習時間が足りないと感じる場合は、校外での学習機会を設けるのもおすすめです。一般的に英語習得に必要とされる2,000~3,000時間という学習時間を確保するためには、学校外での学習環境の整備が必要となります。
特に英会話教室などでの学習は、定期的な英語学習習慣を確立することができるでしょう。週に決まった時間を英語学習に充てることで、継続的な学習リズムをつくれます。また、ネイティブスピーカーとの交流機会も得られ、学校では経験できない実践的な英語コミュニケーションを学ぶことが可能です。
小学生からの英語学習は、楽しく継続できる環境が何よりも重要です。日常生活のなかで自然に英語に触れる工夫と、実際に話す機会を提供する英会話教室を組み合わせることで、子どもたちはより実践的な英語力を身につけられます。
7.小学校からの英語教育で子どもの可能性を広げよう

小学校からの英語教育には多くのメリットがあり、適した環境と方法を取り入れることで、子どもたちは将来的に高い英語力を身につけられます。一方で、デメリットや課題にも注意し、英語と日本語のバランスを保ちながら進めることが重要です。
学校だけに頼らず、家庭や地域でのサポートを活用しながら楽しんで英語を学べる環境を整えることが、継続的な学びにつながるでしょう。
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執筆者:英語で預かる学童保育Kids Duo
コラム編集部